ギターの習得とはざっくり言うと、
- 『左手の動きを思うままにコントロールする』こと、
- 『右手の動きを思うままにコントロールする』こと、
- 『両手の動きをリンクさせる』こと、
この3点をとにかく追及することです。
今後弾きたいフレーズがあるがなかなか弾けないという場合は、上記3点のうちどれかまたは複数が不完全である、というのが基本的な要因です。(その他の要因としては、そもそも弾き方が間違っている、楽器が極端に弾き辛い状態になっている、などがあります。)
ギターを始めて間もない人は、上記3点においてまったくのゼロの状態からスタートするわけですから、全てが大変に感じてしまい、つまづきやすいのです。
よってそのことを理解したうえで一点一点、
- 左手に意識を置いて練習する
- 右手に意識を置いて練習する
- 両手を合わせて練習する
という風に1~3を繰り返すことで少しずつ上達していきましょう。
上達に従って、練習が楽になっていきます。
前記事までで左手のフォームに集中して解説しましたので、今記事では右手ストロークのフォームや動きについて解説していきたいと思います。
1.実は重要だった!最初に正しいストロークを癖付けよう
『右手の動作』に関してですが、右手で持ったピックが弦に当たればとりあえず音は鳴るので、どちらかといえば「左手をきちんと押さえているか」に気を取られてしまい、右手の動きを意識しながら弾く人は実際あまり多くありません。
しかし、『音を鳴らす』かどうかを最終的に決めるのは右手です。他の楽器と合わせて弾く場合、きちんとリズムやタイミングに合った演奏を出来るかは右手にかかっているのです。
また、強弱や歯切れの良さなど音楽的なニュアンスを表現するのも右手の役割です。つまり、右手を自由にコントロール出来ているかどうかで、演奏の良し悪しの大きな分かれ道となるのです。
1-1.ピックの持ち方
実のところピックの持ち方で、正しいやり方、というのは決まっているわけではありません。
持ち方は人それぞれではありますが、『強い力で握りしめない』というのは唯一共通した必須条件といえます。
『強い力で握りしめず、かつピックがズレにくく、動きをコントロールしやすい』といった理由から私は以下のような持ち方をしています。一例として、参考にしてみてください。
1.まず人差し指の第一関節から指先の間の側面にピックを置きます。この時、人差し指指先と、ピックの向きはほぼ同じ方向を向いています。
2. 次にピックの上に親指を軽く載せます。
この時、ピックの向きと親指の向きは約90度で交差するようにします。
1-2.ギター初心者の9割が間違えるストローク
ピックの持ち方とは違い、ストロークの仕方には正しいやり方と間違ったやり方があります。
簡潔に言うと、正しいストロークは『手首』を動かします。間違ったストロークは『ひじ』を動かします。下記を見てください。
手首を動かした正しいストローク
ひじを動かした間違ったストローク
上下2つ見比べてみると一目瞭然ですが、
正しいストローク方法はひじを動かすことなく手首を少し回転させることで手を上下に振ります。
間違ったストローク方法は手首を固定させ、ひじの関節を動かすことでひじ~手全体を上下に振ります。
間違ったストロークはピックが弦に引っかかり易く、ピックが当たる弦当たらない弦など出やすいです。
また腕全体を使うのでスピードが出にくく、歯切れの悪さにもつながります。
上記の理由からとてもバランスの悪い演奏になりがちですが、大体の初心者の方が自然にこの間違ったストロークで弾いてしまいます。
正しいストロークを身に付けるだけで、格段に上達を感じられると思いますので、次項で是非マスターしてみてください。
1-3.正しいストローク方法をマスターする
ピックを持ち、手首の親指付け根部分が5弦~6弦あたりにくるように構えます。
1. この時手首は完全に脱力するようにします。脱力すると写真のように手が垂れ下がります。
2.手首の高さは動かさずにピックを振り上げてみます。この状態をスタート地点とします。
手首の高さは変えずに脱力しながら6弦から1弦まで順番に弾いていきます。この時、脱力はしますがピックは弦の抵抗に負けないようにしてください。
3. 手首の位置は変えずに2のストロークと同じ軌道を描き、1弦から6弦まで順番に弾きながらスタート地点まで手を戻します。
2と3を繰り返します。
※注意点
ダウンストローク時の動きのイメージとしては、濡れた手から水滴を振り落とすような、手首は脱力しているが勢いよく手首を回転させ振る、そんなイメージで動かしてみてください。
またダウンストロークは重力も利用するので少ない力加減で行うことが出来ますが、
反対にアップストロークは重力に逆らう動作なので、ダウンストロークと同じ力加減で行うとスピードが遅くなったり弦に引っかかり易くなります。
ダウンと同じニュアンスでストロークする為には、アップはダウンの3倍以上の力加減が必要といっても言い過ぎではないと思います。
このようにダウンとアップで必要な力加減は大きく変わってきますので、バランス良く一定の音量、一定のテンポで演奏するためには力加減を調整しながらストロークする必要があり、その微妙なバランスに『慣れる』必要があると思います。
2.正しいストロークをマスターする最も効果的な練習法とは
2-1.まずは慣れましょう
ダウンとアップを交互に繰り返すピッキングのことを、オルタネイトピッキングといいます。
まずはオルタネイトのストロークで下記譜面を弾いてみましょう。
ストロークのスピード感が遅いと和音がバラバラと六つの音に分散されて聴こえてしまいます。
ひとつひとつしっかりと振り切って、和音が一つの塊に聴こえるように注意して弾きましょう。
2-2.タイ記号について
上記譜面2拍目裏から3拍目の2分音符の同じ音が線で繋がれています。この線のことを、タイ記号といいます。
これはタイで繋がれた方の(2つ目の音)は改めて弾き直さないことを意味します。つまり上の譜面の場合、2拍目裏で「2分音符+8分音符」分の長さの音符を弾く、ということです。「2分音符+8分音符」分の長さの音符というのは付点音符では表せないので、このようにタイ記号を用いて表します。
また以下のように、小節をまたぐ音符の場合もタイ記号を使用して表します。
1小節目4拍目で2分音符を書いてしまうと、1小節目は5拍分の音符が書かれ、2小節目は3拍分しか音符が書かれないことになってしまうので、このようなタイ記号を用いて表します。
2-3.ストロークの最も効果的な練習法、空ピックについて
以下譜面を見てください。
4分音符と8分音符を含む譜面ですが、ストローク記号は常に8分でアップとダウンを繰り返しています。
つまり、ピックは弦に当てない時もあるがストロークは一定に行ってくださいね、という意味の表記です。
このように空振りのピッキングのことを空ピッキング(空ピック)といいます。
空ピックの最大のメリットは、右手を常に一定に振っているのでリズムが安定しやすいという点です。
また、右手首が力んでいたり、正しくないストロークだと逆にやりずらいテクニックなので、正しいストロークの練習に非常に効果的です。
是非上記譜面をどんどんテンポを上げて練習し、マスターしましょう。
3.まとめ
如何でしたでしょうか?
バランス良く右手でコードストロークが出来るだけで、サウンドははるかに向上します。
正しいストロークや空ピックをマスターしたら、是非同じストロークで、前回のコード進行をカラオケに合わせて弾いてみてください。
もし滞りなく弾けたのなら、ギター初心者には聴こえないレベルまできっと上達しているはずです。