ギターを始めようと思って楽器は手に入れたけど、まず何から始めたらいいのだろう。ギターはピアノのようにパッと見でドレミの位置が分かるような楽器ではありません。また、押せば鳴るという楽器でもありません。それ故どこをどう押さえたら良いのか、どういった練習をしていけば弾けるようになるのか分からないという方はとても多いと思います。
ギターの習得は、
- 『正しい弾き方を知る』
- 『正しい弾き方を実行する』
- 『正しい弾き方に慣れる』
↓
↓
といった3段階のプロセスを繰り返していくことによって確実に上達していきます。このプロセスはどのレベルの人にとっても欠かせない必須事項といえるでしょう。
このページでは初めてギターを持った方が、まず最初に知っておくべきことについて解説していきます。
1.これだけは覚えておきたいギター部位のなまえ
ギターはいろんな部品から成り立っておりそれぞれに名前はついていますが、初心者の方が現段階で覚えておきたい名称だけを簡潔に説明します。
- まず、ギターのさおの部分を『ネック』と呼びます。
- ネック上の、左手指で押さえる面の部分を『指板(フレットボード)』と呼びます。
- また指板に打ち付けられている鉄の仕切りを『フレット』と呼びます。ギターを構えた時に自分の目から見て左端から順番に『1フレット、2フレット、3フレット、、、』と数えます。
- 弦を巻き上げる糸巻きの部分を『ペグ』と呼びます。チューニングはここで調整します。
- 弦は計6本ありますが、最も太い弦を『6弦』と呼びます。太い方から順番に『6弦、5弦、4弦、、、』と数えます。よって最も細い弦が『1弦』となります。
上記の単語はアコースティックギター・エレキギターに共通した部位の名称です。今後も頻出しますので、覚えておきましょう。
2.正しい音にチューニングする方法
楽器として当然のことではありますが、全ての弦は元の音が決まっています。どこも押さえずに弦を一本一本鳴らした時の音を、正しい音にあらかじめ調整する必要があります。この作業のことをチューニングといいます。
ギターは湿度や温度によって、または弾いていない時にペグをぶつけてしまったりしてチューニングがとても狂いやすい楽器です。よって、楽器を弾く前には毎回必ずチューニングをするようにしましょう。
2-1.チューナーの使い方
チューナーにはギターのヘッド部分に挟むクリップタイプのものやカードタイプのものなど様々あり、楽器屋さんで1000円前後で購入できます。スマホアプリでは無料のものがありますのでそれを使うと良いでしょう。基本的な使い方は全て同じです。
- まず基準周波数をA=440Hzに合わせます。上の写真のような『440Hz』の表記が『438Hz』『442Hz』などとなっている場合は『440Hz』に設定してからチューニングを始めてください。
- 6弦の開放弦(どこも押さえずに鳴らす)の音を、『E』に合わせます。6弦を鳴らしチューナーの表示が『E』となっているのを確認したら、針が中央に来るまでペグを回し調整します。開放弦を鳴らして『E♭』と表示される場合は低すぎ、『F』と表示される場合は高すぎです。
- 以下同様に合わせていきます。5弦=『A』に合わせます。
- 4弦=『D』に合わせます。
- 3弦=『G』に合わせます。
- 2弦=『B』に合わせます。
- 1弦=『E』に合わせます。
- 2~7をもう一度繰り返します。
このようにチューニングを合わせます。
各弦の開放弦を鳴らして上記の音名が表示されない場合は、下記表を参考にしてください。
2-2.音名について
チューナーに表示される『E』や『G』などというのは、音名(ドレミファソラシド)の英語読みです。
英語 | C | D | E | F | G | A | B | C |
イタリア語 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド |
また『♭(フラット)』は半音下、『#(シャープ)』は半音上の意味になりますので、『E♭』は『E』の半音下、ということになります。 上記表を参考に、合わせたい音にチューニングをしていきましょう。
3.正しい弦の押さえ方とは
指でギターの弦を押さえることは一見簡単そうに見えます。しかし正しい押さえ方で正しい場所を押さえられなければ、『綺麗な音が出ない』『必要以上に力が入ってしまい身体に負担がかかる』などの現象が起きます。正しい状態に慣れることはなかなか難しく、相応の訓練が必要です。
ここではまず、正しい押さえ方について解説します。
3-1.最小限の力でギターを弾くには?唯一正しく押さえられる場所
例えば、最小限の力で2弦3フレットを押さえるとしたら、どこに指を置いたら良いのでしょうか?
正解は、上記赤丸の2弦3フレットの際(ギターを構えた時に自分から見てフレットのすぐ左横)です。
その他×の部分を押さえるのは基本的にNGです。
NGの理由は、フレットの真上だとクリアな音は出ませんし、フレット間中央~2フレット寄りだと余分な力で弦を押さえこまないとクリアな音は出ない為です。余分な力が入ると腕や肩や指に負担がかかり、1曲弾ききることは出来ません。
よって、最小限の力で弦を押さえるには、赤丸部分以外にあり得ないのです。
3-2.弦をどこまで押さえるか?
図のようにネックを上から見た時、弦はどこまで押さえるのでしょうか?
『どこまで弦を押さえるか?』という点は、勘違いされている方が多いのですが、ここを間違えてしまうと正しい力加減が身につきません。
間違った力加減
指の先が、指板 (木の表面)にくっつくまで押さえるものだと考えている人が多いようです。
これは、『ブリッジ(右端の弦が留まっているところ)から指先までの距離によって、音の高さが変わる』と勘違いされているからだと思います。
しかしこれでは相当余計な力が入ってしまいます。
正しい力加減
音の高さがどのように変化するかというと、
『ブリッジ(右端の弦が留まっているところ)からフレットまでの距離によって、音の高さが変わる』
のです。
ということは、指でフレットの高さまで弦を押さえれば良いのです。
フレットの高さまで押さえてクリアな音が出ないようであれば、弦とフレットが完全に接着していないので、もう少し力を足してあげてください。
4.間違えやすい!コードダイアグラムとTAB譜の正しい読み方
4-1.コードダイアグラムの見方
ギターにはコード(和音)弾きという、指で複数箇所押さえて複数の音を同時に鳴らす奏法があります。 初心者の方はまずこのコード弾きをマスターすることが、まず最初の大きな目標となります。その際に手助けとなるのが、次のコードダイアグラムです。
このような図をコードダイアグラムといいます。音符や五線譜が読めなくても、押さえる場所や鳴らす弦を視覚的に分かり易く書き表したものです。図を説明すると、
- 黒丸の3箇所(2弦1フレット、4弦2フレット、5弦3フレット)を左手指で押さえます。
- 1弦3弦が○というのは、『どこも押さえず開放弦を鳴らす』の意味です。
- 6弦が×というのは、『この弦は鳴らさない』の意味です。
つまり、黒丸3箇所を押さえて5弦から1弦まで同時に鳴らせばこのコードを弾くことが出来ます。 読み方で特に間違えやすいのは、1弦(細い弦)が一番上、6弦(太い弦)が一番下に表記されていることです。逆に読んでしまわないように注意してください。
4-2.TAB譜の読み方
ギター奏者は五線譜の代わりに、TAB(タブ)譜という譜もよく使います。音符や五線譜が読めなくても、押さえる場所や鳴らす弦を視覚的に、また数字で分かり易く書き表したものです。下記上段が五線譜、下段が五線譜に対応させたTAB譜です。
TAB譜にはギターの弦の数と同じ6本の線がひいてあり、実際に押さえる指板のフレットを数字で表して、簡単に譜面を読めるように工夫されています。図を説明すると、
- 2弦1フレット、4弦2フレット、5弦3フレットを左手指で押さえます。
- 1弦3弦が0フレットというのは、『どこも押さえず開放弦を鳴らす』の意味です。
- 6弦に何も表示がないというのは、『この弦は鳴らさない』の意味です。
- 1弦~5弦まで同時に鳴らします。
コードダイアグラムと同様に読み方で特に間違えやすいのは、1弦(細い弦)が一番上、6弦(太い弦)が一番下に表記されていることです。一番上の線を6弦と勘違いしてしまわないように注意してください。
5.知っておくと便利なギターの構造
5-1.チューナーを使わずにチューニングする方法
ギターの特徴的な構造として、『同じ高さの同じ音が複数存在する』というものがあります。
ピアノには『ド』という音が8箇所ありますが、全て音の高さは違います。それに対しギターは同じ高さの『ド』が複数あるのです。
弦が違うので音のニュアンスは違うものの、上記『ド』は全て同じ高さの『ド』です。
このような構造を利用して、チューナーを使わずに耳でチューニングを確認することが出来ます。
- 6弦5フレット=5弦開放弦
- 5弦5フレット=4弦開放弦
- 4弦5フレット=3弦開放弦
- 3弦4フレット=2弦開放弦
- 2弦5フレット=1弦開放弦
となっていることを耳で確認してみてください。
※2弦のみ、3弦4フレットであることに注意してください。
※この場合6弦開放弦がまず正しい音で確認する必要があるので、正しいチューニング方法とは言い難いですが、弦の相互間での簡易的な確認という意味でのチューニングは可能です。
5-2.弦高について
指板と弦との間の距離(高さ)のことを、弦高といいます。
弦高が高いものほど、弦を押さえる力が必要になり、弦高が低いものほど弦を押さえる力が不要になります。
ちなみに、クラシックギターよりアコースティックギター(フォークギター)の方が弦高は低く、エレキギターはさらに低い弦高に設定されています。
またエレキギターは自分で手軽に弦高調整が出来るので、ギター習得に難しさを感じたり、もう少し弾き易くしたいという場合は弦高を下げてみるのも良いかと思います。
つまり、弦高を調整するだけで弾き易さは大きく変わり、ギター習得の難易度を大幅に下げることが出来るのです。
このように、うまく弾けない場合は演奏技術や能力面だけでなく、楽器の状態により弾き辛いという可能性もギターに関しては大いにあり得ます。この点も覚えておいて損はないことかと思います。
まとめ
分からないことが多いと戸惑いがちですが、正しい知識を身に付けることで、よりギター習得に取り組みやすくなったことと思います。
ギターの習得は車の運転や英会話と同じで、『正しいやり方に慣れる』ことが要になってきます。『慣れる』とは、『どれだけ時間を割いたか』に比例します。時間を割かずに慣れることはありません。
最初は大変ですが『3.正しい弦の押さえ方とは』で解説した正しい押さえ方に慣れることに、是非チャレンジしてみてください。