「ギターが弾ける」というのはどのような状態でしょうか。
「正しい弾き方を知っている」
ことが前提ですが、それに加え
「右手を思うままにコントロールしている」
「左手を思うままにコントロールしている」
この2点がどこまで出来ているか、が演奏のレベルと比例するといえるでしょう。
「弾き方を知る」のは正しい情報に触れることで誰でもすぐ出来ますが、
「身体を思うままにコントロールする」ことは相応に時間と訓練が必要になります。
これがなかなか大変な部分でもありますが、
逆に言えば時間と訓練さえ積めば確実に上達する、ということです。
ギターを始めて間もない頃から右手と左手をコントロールする練習を重ねておくと、習得のスピードが断然早くなります。
今記事は初心者が確実に上達する為にマスターすべき練習フレーズについて解説します。
1.必ず覚えておきたい左手の準備運動
1-1.クロマチックスケール
クロマチックスケール(半音階)練習とは、指を1本ずつ隣のフレットに置いて正しく弾いていく練習です。
まず、6弦3フレット人差し指からスタートし、順番に4フレット中指、5フレット薬指、6フレット小指、と進んでいきます。
そこまできたら弦を変えて5弦3フレット人差し指へと進みます。
フレットと弦を変えていき最終的には1弦6フレット小指がゴールです。
テンポは50 ぐらいで、なるべくゆっくりで弾きます。
ピッキングはオルタネイトピッキング(アップとダウン交互にピッキング)で弾きましょう。
このようなクロマチックスケールを初めて弾く方にとっては、
指と指というのはくっ付き易く、広がりにくい為難しく感じるのは当然です。
もし小指まで届かない、という方は人差し指中指薬指の3本から始めると良いかと思います。
1-2.クロマチックスケールの目的と注意点
このような練習を行うには、明確な目的が幾つかあります。
- 指と指の間を広げられるようにする
- 指を一本一本独立して動かせるようにする
- 右手と左手のコンビネーションの向上
上記目的を踏まえてクロマチックスケールを練習する上で、非常に大事な注意点が3点あります。
- フレットの間際を押さえること
- 指の腹ではなく指先で弦を押さえること
- 音を繋げて弾くこと
「初心者が知っておきたい5つのこと」でも解説しましたが、
フレットの間際が最小限の力加減で弦を押さえる唯一の押弦箇所です。
全ての指の指先でフレット間際を押弦する為には、ある程度指を開かなくては出来ません。
このことが指と指の間を広げるストレッチ運動になります。
また音を繋げて弾く為には、次の音を弾くまで今押弦している指を離してはいけません。
このことが、指一本一本の力加減のコントロールや指の独立へと繋がります。
クロマチックスケールは必ず上記注意点を守り目的を意識して弾くようにしましょう。なんとなく行うようでは、上達にはつながりません。
2.必ずマスターしたい右手のストローク
2-1.空ピックでストローク練習
前記事にて解説した正しい右手ストロークですが、癖が付くまで時間のかかる事と思います。
ストローク練習を日常練習として取り入れ、なるべく早めの習得を目指しましょう。
空ピックを取り入れたストロークは右手の振りをコントロールするのにとても良い練習です。
より右手の動きに集中する為に今回はコードは押さえずにブラッシング(左手を1弦~6弦の上に軽く触れる程度に置き、音程は出さずに弦とピックがぶつかる音をパーカッション的に鳴らすことをブラッシングといいます)で弾いてみます。
注意点
この時、必ずメトロノームに合わせて練習しましょう。
空ピックやストロークが安定しないと、どんどんリズムがズレていってしまいます。
コツとしては、譜面赤丸部分でダウンの空ピック時、振り下ろしたついでに右手の甲で自分の太ももを叩きます。
こうすれば音符を弾かない空ピック時もちゃんとリズムを取ることが出来ます。
2-2.アクセントを付けてストローク練習
次に効率的な右手の練習としては、メトロノームに合わせてアクセントをつけながらブラッシングする練習方法があります。
1拍目と3拍目にアクセントをつけて(強調して)、その他の音符は弱く弾きます。
慣れてきたら、次は2拍目と4拍目にアクセントをつけて弾きます。
音符の強弱をコントロールするには、右手の動かし方や力加減をコントロールする事が必要になりますので、非常に良い練習になります。
まずは出来るテンポから始め、だんだん早くしていけば、より右手のコントロールに繋がります。逆にどんどん遅くしていけば、リズム感覚を養うことが出来、これもとても良い練習になります。
色々なテンポで、確実に出来るようにしましょう。
3.得られるメリット・まとめ
如何でしたでしょうか?
『左手編』のクロマチック練習を行うことで、
- 指と指の間を広げられるようにする
- 指を一本一本独立して動かせるようにする
- 右手の動きと左手の動きをタイミングを合わせて弾く
といったことが高精度で可能になります。
『右手編』のストローク練習を行うことで、
- 歯切れ良いサウンドでストローク出来る
- 安定したリズム感で弾けるようになる
- 強弱を付けてより音楽的に演奏出来るようになる
といったことが可能になります。
全体を通してとても地味で単調な練習ですが、すぐに記憶出来て譜面を見ずとも出来る、という点では大変大きなメリットです。
そしてこのような練習は自分の身体に癖付けることで初めて意味を成します。
癖付ける迄時間はかかりますが、
『あまり考えなくても無意識で出来る』レベルまで達すると確実に上達していますし、
効果を実感できることと思います。